神曲 地獄篇のツッコミどころ
『神曲』を読み進めていたんですが、何とも言えない違和感がありまして。
ツッコミどころをまとめてみました↓↓
①当時の読者は神曲をノンフィクションとして信じていたのか?
→神曲は、登場人物に実名を入れたりとリアリティこだわっています。
「ダンテは本当に地獄に行ってその話をまとめてるんだな、すげえ!」って心持ちで私も読んだほうがいいのでしょうか。
②地獄に落とされたマホメット
→驚きました。色々と問題ですね…。
(イスラム教徒の間でも神曲は好意的には受け止られていないようですね。あんな書かれようでは当たり前ですが。)
③作中のダンテが何か嘘くさい笑
→「その刑を受けているのは、なんと〇×ではないか!」「想像もできないような悲惨な光景ですが、見ちゃったので書きますね」みたいな、いやあんたのフィクションだろ!と思わず突っ込んでしまうような白白しい表現が多いです笑
これらのツッコミどころに、
現代の私の感性では、何百年前に書かれた本書を理解するには難しいのだろうともやもやしながら読んでいましたが、巻末の解説がすごく的確だったのです!
作中人物ダンテが良心に誓って地獄を見た、というのは大嘘だ。嘘を言いながら「良心だけが私の支えだ」などぬけぬけというのは厚かましいにもほどがある。
おお、そうなのです!
その白々しいところが気になっていたところです。
ただ、そうは言いながら平川氏の意見はこう続きます…
しかしその嘘の世界が面白い。そしてその嘘というかフィクションをこれほど見事に描ききったダンテの詩的推敲の努力、それはまことに見上げたものである。
この解説を読んでとてもほっとしました。
(当たり前ですが)この作品を、ダンテの作ったフィクションだ!と思って読み進めていいのだなと。
フィクションとして読み進めると確かに、緻密に考えられた舞台設計や、リアリティの溢れる場面描写に素直に関心することができます。こんなにも気味の悪い地獄(笑)を纏め上げたダンテの執念まで感じることができます。
すっきりとした所で、地獄篇ももう終盤です( ˘ω˘ )